新たな配当投資の形「435A」
新NISA制度の開始とともに、日本の高配当株への関心が急速に高まっています。
さらに初の女性総理大臣として高市政権が生まれ、積極財政への舵取り、日経最高値更新など、その期待感はこの停滞した失われた30年を吹き飛ばす勢いです。
そんな中、多くの投資家が、安定的で予測可能な配当収入をポートフォリオの土台にしたいと考えています。しかし、個別銘柄の権利確定日を一つひとつ管理する手間や、どの高配当株をどのタイミングで売買すれば良いのかという判断の難しさに、頭を悩ませた経験があるのではないでしょうか。
もし、その面倒な銘柄入れ替えをすべて自動で行い、常に「配当が近い銘柄」だけを狙い撃ちするETFがあるとしたら?
2025年10月7日に上場のiFreeETF 日本株配当ローテーション戦略(証券コード: 435A)は、まさにその問いに答える新しいアプローチを提案しています。この記事では、このユニークなETFが持つ、従来の常識を覆す5つの重要なポイントに絞って、その仕組みと可能性、そして本質的なリスクを徹底分析します。
1. 「買って待つ」ではない。「配当を追いかける」435Aの短期回転戦略
このETFの最も革新的な特徴は、その「配当ローテーション戦略」です。これは、「優良な高配当株を見つけて長期保有する」という伝統的な考え方とは全く異なります。
具体的には、以下のルールでポートフォリオを機械的に運用します。
- 投資対象: 「3ヶ月以内に配当の権利確定日を迎える」銘柄に絞り込む。
- ポートフォリオの見直し: 「毎月」実施する。
- 入れ替え: 権利確定を迎えた銘柄は売却し、次の権利確定日が近い高利回り銘柄に乗り換える。
この仕組みは、まるで配当の波を次々と乗りこなしていくサーフィンのようです。この戦略の根幹には、配当権利確定前に株価が上昇しやすいという市場の経験則、いわゆる「配当取りのアノマリー」を効率的に捉える目的があります。
しかし、この戦略には「配当落ち」という避けて通れない大きな壁が存在します。配当の権利を得た翌営業日には、理論上、株価は配当金相当額だけ下落します。このETFは「独自のルールベース運用で配当権利落ちによるパフォーマンスへの影響を抑制する」ことを目指していますが、この戦略が本当に配当落ちのダメージをカバーし、トータルリターンでプラスを維持できるのかが、このETFの真価を問う試金石となるでしょう。
2. シミュレーション利回りは驚異の7%超え。でも、これは魔法ではない
このETFがこれほど注目を集める最大の理由は、シミュレーション(バックテスト)上で示された驚異的な分配金利回りにあります。
過去のデータに基づいたシミュレーションでは、その利回りは6%から8%を超える水準で推移しており、直近のモデルでは7.79%という数値も示されています。TOPIXの平均配当利回り(約2%台)や、他の人気高配当ETF(3〜4%台)と比較すると、そのインパクトの大きさは一目瞭然です。
「計算上ではありますが、配当利回りがなんと6%を超える高利回りのETFとなっております」 ―― 金融アナリスト 三井智映子氏
https://youtu.be/S-_fTFUr5CU?si=PKWGxJQJiuIR-cdT
ただし、ここで最も重要な注意点があります。これはあくまで過去のデータに基づくシミュレーションであり、将来の成果を保証するものではないということです。この戦略が持つポテンシャルに期待しつつも、実際のパフォーマンスは冷静に見極める必要があります。
3. 狙うは「次の配当利回り」。成長性より現在の利回りを優先
3つ目のポイントは、銘柄選定の基準が極めてシンプルであることです。このETFが最も重視するのは「次回予想配当利回り」です。
これは、企業の長期的な成長性や「連続増配」といった歴史よりも、直近で最も高い利回りが期待できる銘柄を最優先する戦略であることを意味します。米国の人気ETFであるSCHDが増配の実績を重視するのとは、根本的にアプローチが異なります。
この戦略には明確なメリットとデメリットがあります。
- メリット: 常にその時点で最も高いインカムゲインが期待できる銘柄群に投資できる。
- デメリット: 将来の増配トレンドに乗りにくい可能性や、企業の業績悪化による「予想配当の減額」リスクがある。
このETFは、長期的な株価成長よりも、現在のキャッシュフローを最大化したい投資家にとって、特に興味深い選択肢となるでしょう。
4. アクティブ運用ならではのコストと、少し変わった「売却手数料」
435Aは、TOPIXのような指数に連動するパッシブファンドではなく、独自のルールに基づいて運用される「アクティブファンド」です。そのため、コスト構造にも特徴があります。
- 信託報酬: 年率0.4125%(税込) パッシブ型のETFよりは割高ですが、毎月の銘柄入れ替えという専門的で手間のかかる運用をプロに任せる手数料と考えれば、アクティブファンドとしては比較的低コストな水準と言えます。
- 信託財産留保額: 最大0.03%程度 これはETFを売却する時にかかる費用です。毎月銘柄を入れ替えるという高頻度の売買を行う当ETFにおいて、短期的な資金の出入りが他の長期保有者の利益を損なわないようにするための「防衛壁」のようなものと理解すると良いでしょう。
これらのコストは、このETFが持つユニークな運用戦略を支えるための必要経費と言えます。
5. 理論上は米国ETFも超える?435Aの驚きのバックテスト結果
読者にとって最も意外かもしれないのが、このETFのシミュレーション上のトータルリターンです。ある特定の期間においては、米国の人気配当ETFであるVYMやSCHDをも上回るパフォーマンスが示されています。
もちろん、これが将来を約束するものではないことは、再度強く強調しておきます。この結果が示しているのは、あくまでこの戦略が特定の市場環境下で非常に強力なパフォーマンスを発揮する「可能性」を秘めている、という点です。
このような高いリターンがシミュレーションされた背景には、この記事の最初にも触れた「配当取りのアノマリー」を、ETFという仕組みを使って効率的に、そして分散された形で狙うという設計思想があります。
まとめ:435Aは配当投資のゲームチェンジャーか?
iFreeETF 日本株配当ローテーション戦略(435A)は、伝統的な「長期保有型」の高配当株投資とは一線を画す、短期回転型の積極的なインカム獲得を目指すユニークな金融商品です。
- 魅力: 面倒な銘柄管理なしで、シミュレーション上は非常に高いインカムを狙える可能性。
- 注意点: あくまで過去データに基づく実績であり、最大の課題である「配当落ちリスク」を克服できるかは未知数であること。そして、アクティブ運用ならではのコスト。
このETFは、短期的なキャッシュフローを最大化したいインカム投資家には魅力的に映るかもしれません。一方で、長期的な増配と株価成長による資産拡大を狙う投資家には不向きな戦略です。
果たして、この「自動配当サーフィン戦略」は『配当落ち』という宿命的な壁を乗り越え、真のトータルリターンをもたらすことができるのでしょうか。今後の実際のパフォーマンスから目が離せません。
